「伊集院光とらじおと森本レオと」の回で、レオさんが「ラ・ジュテ」という映画について熱く、とても熱く語る。その語り口に引き込まれてその日のうちにTSUTAYAに行ってラ・ジュテを借りてきてすぐにみた。ラ・ジュテについての覚書は別の記事に残しておくとして、今回は12モンキーズについての覚書。レオさんは、ラ・ジュテの存在が後の12モンキーズにつながり、12モンキーズの存在がトータル・リコールへとつながっているのだと言っていた。その話の確からしについては現時点では確かめるすべがないが、12モンキーズをつくることにギリアム監督は並々ならぬ情熱を注いでいたようだ。実際に12モンキーズの映画冒頭でラ・ジュテが原案である旨のクレジットがしっかりと入っているので、ラ・ジュテによって12モンキーズが生み出されたことはまぎれもない事実だということは確認できた。「確認できた」と改めて書いているのは、レオさんの話すことの半分は、もしくはそれ以上かもしれないが、レオさんのたくましすぎる想像力でもって本当のエピソードにこれでもかというくらいに肉付けされてしまっているかもしれないぞ?感が否めないから。

映画版でのコールの使命は、過去に戻ってウイルスの株をみつけ現在に持ち帰ること。決して、過去に起こる出来事それ自体を変えることが使命ではない。現在(2043年)の世界での支配者と被支配者(レオさん風に言うと勝者と敗者)とのわけにおいて、勝者は絶対的な座を有している。完全に敗者を支配している。コールが収監されるまでのエピソードが映画の中で語られていたのかどうかわからないが、彼が罪を犯してしまったがために罪人としてとらわれているのか、あるいは、支配層になれなかったから(なるためには相応の身分やお金が必要だったとか。医者、科学者などの高度な専門職についている人は優遇されたとか)自動的に囚われているのか。後者だったのではないかと勝手に想像する。

彼ら支配者は、過去に起きた悲惨なできごとを回避することで現在と未来がよりよい世界になることを願ってコールを過去に送り出しているわけではない。未知のウイルスによって人類が絶滅の危機に追いやられる中で、必然か偶然か勝者として君臨することができたわけだから、そのイベント自体がなくなることで現在の自分の存在が、勝者と敗者に区別された世界の存在自体が危ぶまれることも当然のごとく理解しているのかもしれない。あるいは過去への干渉は未来へ影響しないという前提があるか。支配者は、コールを過去に送りウイルスの原株を持ち帰らせて、それに対する対抗策を導き出すことで自分たちだけが地上の世界に舞い戻ろうとしているのでは。勝者と敗者にわかれていても、光の届かない地下空間に同居していなければならない事実に納得がいっていないようにも見える。地上への出口を作り出すことで、勝者と敗者の間にどうあがいても超えることのできない境界線が築かれる。コール自身もそのことに本能的に気づいていたのかもしれない。現在で勝者から与えられる恩赦には何の意味もないことを知っていたのかもしれない。ただ利用されているだけだと。

映画の頭と終わり。コール少年のアップではじまり。コール少年のアップで終わる。場面が空港であるというのはラ・ジュテへのオマージュだろうか。アップのシーンも少年のぼんやりとした表情と飛んで行く飛行機の飛行音が流れるだけで、静止画に音だけのせたような少し違和感のあるカット自体もスライドショー形式のラ・ジュテへのオマージュだろうかと思ったのだけど、wikiをみるにギリアム監督は12モンキーズ作成中もその前もラ・ジュテは見たことがないらしいと書かれているので 1、もしそれが本当であればアップのカットが出来たのは偶然なのだろうか。ただ、映画は見ていないと言っても原案として採用するくらいだからこの映画がどういったものであるかを全く知らないということもないだろうし、とするとあのカットはあえての作りだったのかもしれないな。と都合よく考える。

”映画版では”と前置きしたのは、2015年からTVシリーズとしてやっている12モンキーズを見はじめているところで、コールの役割が全く違うものになっているから。(というかまだ1話しか見ていないのでそういう風にしか描かれていないだけかもしれない)。転送装置(カタカナの名前わすれた)はオリジナルを意識した感じだった。コールもライリーの雰囲気も悪くないと思う。ゴインズが女性になっているのには驚いた。変わったからどうということはないのだけどブラピのイメージが強すぎたからギャップがある。パラドックスの爆発?のシーンとか、SFアクション感強まってる。ジョーンズ博士も協力的すぎない?あれはみせかけ?あとで手のひら返し来るのか?おいおいTVシリーズの感想も残しておくかも。

コールは空港で犯人を取り逃がしてしまう。ただ、取り逃がす前に荷物検査の時点で犯人はウイルスを飛散させてしまっているので、フィラデルフィアでのパンデミックは結局おきてしまう。(映画版での前提として、過去に干渉した結果未来(現在)の事実が書き換わることはない、という感じらしい。TV版ではそこも異なる)。コールから逃げ切った犯人は無事に飛行機にたどり着いて、次の犯行の目的地へと飛び立っていくが、犯人の隣の席には2043年でコールを過去に送り込んだ科学者(ジョーンズ)が座っている。まさかこの時代に二人が接触していたとは、なんてことあるわけもなく、コールからの連絡を持って現在の科学者たちが空港のいたるところに張り付いて犯人の動向を探り、しっかりと隣の席を確保していただけのことだろう。

ラストの飛行機内のシーン。ジョーンズ博士と犯人との会話字幕では
ジョーンズ:保険救済業をやっているわ
的な会話で終わる。

会話を以下に書き出した

[astrophysicist]
it’s obscene. all the violence, all the lunacy.
shootings even at airports now.
you might say that we’re the next endangered species.
human beings.

[panting]
i think you’re right, ma’am.
i think you’be hit the nail on the head.

[astrophysicist]
jones is my name.
i’m in insurance.

astrophysicistは天体物理学者
pantingはなんだ?役名?何かのスラング?はーはー息を切らす。と出てくるけど。

ジョーンズ達科学者は、万が一コールが任務遂行に失敗したときのための救済者(コールにとってのではなく)として待機していたよう。


Notes:

  1. https://ja.wikipedia.org/wiki/12%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%82%AD%E3%83%BC%E3%82%BA