「100分de名著 アーレント 全体主義の起源 第1回 異分子排除のメカニズム」の視聴メモ

全体主義がどのように生まれたかを探る。

基本情報

出版:1951年
著者:ハンナアーレント

全体主義という言葉

始まり:
 ・イタリアのファシズム政権やドイツナチス関係の知識人が使いだした。
 ・自分たちの体制をポジティブに表す言葉だった。

全体主義:
 ・自分たちの文化の中に内在している問題。
 ・国家と一体化したいという大衆の願望が動かしていった政治運動。

今の日本でも世界でも、閉塞感という言葉が使われる。閉塞感を打ち破るための刺激として、より強いカリスマを求めるメンタリティが高まっていく。そのような状況は世界的にただよっている。

ユダヤ人国家の建設を目指すシオニスト

台頭したナチスがユダヤ人を敵視
ニュルンベルク法
水晶の夜

ナチスのポーランド侵攻により第二次世界大戦開戦
→アーレントはアメリカに亡命(1940年)

大戦終結後、ドイツに残されたヒトラー政権の膨大な資料を集め、全体主義の起源を執筆した

反ユダヤ主義とユダヤ人憎悪は同じものではない。ユダヤ人憎悪というものは昔からずっと存在したが、反ユダヤ主義はその政治的、及びイデオロギー的意味において19世紀の現象である。

19世紀に生まれた反ユダヤ主義が、それまでのユダヤ人に対する反感とは根本的に違うものだと考えた。

まさに国民国家がその発展の頂点においてユダヤ人に法律上の同権を与えたという事実の中には、すでに奇妙な矛盾が潜んでいたのである。同質的な住民の内部では、ユダヤ人は疑いもなく異分子であり、そのため、同権を認めてやろうとするのであれば、ただちに同化させ、できることなら消滅させてしまわねばならなかったのである。

国民国家とは

言語、歴史、文化を共有する人々によって構成された国家のこと。ナポレオン戦争後に生まれた。

  • 国民国家 = nation state
  • nation = 「生まれ」
  • 文化を共有しているということを明確に自覚している人たちのこと

  • state = 「組織」

国民国家の問題

大陸では自然な国境がない。nationとstateが一致しない。目指しても実現しない。

19世紀
ドイツ連邦結成→ドイツ統一
統一された国内にドイツ人とは異質な人々としてユダヤ人がいた

ユダヤ人に対して

ドイツ人同士が一緒だということを確認するために異分子が入り込んできているという意識ができてきた。
ユダヤ的な慣習も辞めてもらう。付き合いも辞めてもらう。普通のドイツ人になってもらう。という押し付け。
結果、ドイツに同化しようとするユダヤ人、ユダヤ意識を持つユダヤ人がでてくる。

反ユダヤ主義について

国際的な商業カーストとしていたる所で利害をひとしくする家族的コンツェルンとしてのユダヤ人というイメージがくりかえしあらわれ、やがてこうしたイメージは、王座のかげにかくれた隠密の世界勢力、あるいは世界のあらゆる出来事の裏で糸を引いている全能の秘密結社といった幻想へと変容した。その権力とされるものを一切の社会的秩序の破壊のために利用するのではないかと否応無しに疑われたのである。

隠密の世界勢力

弁護士、医者、教師、にユダヤ人の割合が多かったため悪いイメージが膨らみやすい状況ではあった。

反ユダヤ主義を象徴する出来事

1894年アルフレド・ドレフュス事件
逮捕の理由はかれがただ一人のユダヤ人士官だったこと。

パリアとは

国民国家に同化しようとしたユダヤ人をパリアと表現。
体制外に置かれ人間扱いされない人。

不幸なドレフェス大尉の事件は、人権などなく、社会が法の保護の外に置いておこうとしてきたあのパリアの名残が、すべてのユダヤ人の男爵、すべてのユダヤ人富豪、すべてのユダヤ人のナショナリストのなかに今なおひそんでいることを全世界に証明してしまった。

属しているNATION STATEへの忠誠もあり、ナショナリストとして差別されるはずはないと思っていたユダヤ人はドレフェス事件をきっかけにユダヤ人だからという理由で差別を受ける。

扇動家がつくりあげたというよりは、国民が信じて盛り上がってしまう素地があった。
異物が自分たちのポテンシャルを奪っている。この異物は除かないといけない。となる。

そういう回路が一旦できあがると、もっと大きな規模で再現していく。
現代でも見られる現象。自分にとっての敵をごく少数の特殊なグループにまとめて考えておくと落ち着く。

— 2回目に続く