テイスト・オブ・ジャズ 2018/01/06 渡辺香津美さん、谷川公子さん

【今週の番組ゲスト:ギタリストの渡辺香津美さん、ピアニスト・作曲家の谷川公子さん】
昨年リリースの『TOKYO WANDERER』から

や:山本さん
わ:渡辺さん
た:谷川さん

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や:新年第一回の放送にふさわしくビッグなゲスト。ギタリストの渡辺さん。そしてピアニストで公私共にパートナーでいらっしゃる谷川さん。「たにがわ」ではなく「たにかわ」さんです。「きみこ」と書いて「こうこ」とお呼びするんですね。お二人にご出演いただくのは10年ぶり。谷川さんと共作されたCastle in the Airの20007年以来、ちょうど10年経ちました。番組にご出演いただいて10年目ということもありますし、新年第一回ということでよろしくお願いします。今回、昨年秋にリリースされたアルバムをご紹介していただきます。

わ:「TOKYO WANDERER」というアルバムです。ギターとストリングスだけで作ったアルバムです。昨年ストリングスの奥村愛さんと一緒に京都の上賀茂神社で演奏したんですが、そのときに今までにない心地よさを感じて、それを忘れられずというか、それがモチベーションとなってできたアルバムですね。

M1「哀愁のヨーロッパ 」

https://youtu.be/EA46jZD6ZM0

わ:皆さんご存知だと思いますが、サンタナでおなじみの哀愁のヨーロッパ。

や:ストリングスが一緒だと趣が変わりますね。

わ:しっとりしていいですよね。

や:サンタナで有名な曲ですが、ギタリストのみなさんはよく演奏されるんですか?

わ:それが実はね、正面切って弾く人はあまりいないです。セッションとか、ギターが集まって誰がサンタナに似ているか競ったりとかはありますが、あまりにも原曲の印象が強すぎるので正面切って演るということはあまりいないんですよね。

や:今回この曲を選曲したのは?

わ:谷川がこの際だからやっちまいなさいと。

た:そんな言い方はしていないですよ。マーチンのビンテージアコースティックギター、1930年の名機で、素で演奏してみてたときに印象的な曲といえばこれしかないだろうと。

わ:ハードル高いんですけどね。アコースティックで弾いている人はあまりいないので。エレキギターで引く人はいるんですよ。ギュイーンと伸ばしてね。アコースティック・ギターだと伸びないんですが、その儚さが、哀愁があるかなと。その分ストリングスが支えてくれて。逆に良い作用が出ましたね。

や:そういうところも聞きどころですね。さて今回のアルバム、非常にそそられる面白いタイトルなんですけども。どういう思いで付けられたんでしょうか。

わ:普段もタイトルやコンセプトを谷川と一緒に考えますが、今回は谷川から。東京渋谷生まれで、ギターを初めてきたということで、音の旅人というか、彷徨い人と言うか、そういうところに彼女が着目してタイトルにまとめてくれたと。

た:ギターをもった渡り鳥。ワンダラーは「驚き」の方じゃなくて「漂流者」とか言う意味で、さまよえる東京人、という感じ。

わ:セゴビアというクラシックギターの巨匠がおっしゃっていたんですけ、ギタリストは旅をするものだと。そこでピンときました。

た:ギタリストは旅をしなければいけないと。

や:「TOKYO WONDERER」というタイトルに、そういう世界が広がっていたのですね。

わ:アルバムには、僕がギターを弾き始めてからからであってきた曲たちが入っています。

た:サンタナの曲もそうですが、70年代から今までの時間の流れをともにした人々に贈りたいというか、映画を見るみたいに人生を振り返る時に一緒に聞いてもらえたらなあと追撃思い出選曲しました。

わ:愛聴曲集に近いですね。

た:どの世代の人もどこか共感できるものがあればいいなと。

M2「君の瞳に恋してる」

や:音楽の幅も広いですよね。この曲もジャズの曲じゃないしですし。

わ:この曲もやっている人はあんまりいない。

た:これはもういわゆる80年台のバブルの感じがあって、美しいですよね。

わ:前からコンサートのときに、なんかあったらこの曲やったらと谷川から言われていたんですけどなかなか機会がなかった。インストゥルメンタルではないですからね。これをやるにあたって歌い手の人の音源を聞いて節回しとか研究しました。

や:この曲がこんなふうに仕上がるんですね。

わ:ギターとストリングスだけで、ドラム、ベース、パーカッション、キーボードが入っていないので、いい意味で隙間があるし、リズムはギターのタイミングだし、ある意味で弾く方はスリリングですが。僕のギターのグルーブの乗り方一つで曲の表情がいろいろ変わるので面白いですよね。

や:ストリングスとの共演は、京都での奥村愛さんとの共演がきっかけとありましたが、もともと関心はありましたか?

わ:昔から弦は好きでしたね。このアルバムでも弦のアレンジを変えていたりします。友達からも弦カルテット、バイオリン・ビオラ・チェロのアレンジを書いてみてと言われたり。20代でやってみたら結構ハマって、自分でスコアを買ってきて、折あらばやってみたり。

や:それが今回全面的になったということですね。

わ:このアルバムではアレンジャーの萩森英明さんに頼んでゴージャスな、映画みたいなアレンジをしてもらって。

や:ストリングスとやるおもしろさとは何でしょう。

わ:ギターって、弾くと音が消えていくと撥弦楽器です。一方でストリングスは擦弦楽器。同じ弦でも世界の違いの面白さがあって。チェロをかじったことがあって、いまも持っていますが。弓で弾く楽器も好きですね

や:そういうところに根っこがあったわけですね。

わ:はじめて弦のアレンジをするときにバイオリンを買いましたよ。

た:はじめて聞いた。

わ:自分で弾けないんだけど、自分の書いたスコアを頭のなかでイメージして弾いてみたり。キーッとひどい音がなったりね。ちゃんとした人が弾くとこうなるだろうなとイメージして。

や:凝り性というか、徹底的にやるんですね。

わ:でもね、前田憲男先生にきいたら、オーケストラを書くときに自分でトランペットを吹いてみたり、ピアノを弾いてみたり、自分でイメージを掴んでみるそうなんです。なので、そういうのでいいのかなと思いました。

た:演奏したらどうだろうってイメージするのはすごい大事ね。

M3「フラメンコ・レッド」

や:本当にみんなが大好きな曲を立て続けに聞いていただきましたが、オリジナルの曲も入っているんですよね。

わ:谷川公子作。フラメンコ・レッド。

や:ストリングスと一緒だと、より一層、哀愁が漂うというか。

た:世界が広がりますよね。包まれて。

わ:ストリングスに包まれて、メロディは奥村さんに任せて自由に弾ける。

や:この曲は実は「ブルー」もあると。

た:そうなんです。フラメンコシリーズ。渡辺香津美45周年念アルバムでここ数年プロジェクトを一緒にやっているフラメンコギタリスト沖仁さん、その沖さんをフィーチャーした曲として、かねてより心に描いているフラメンコとジャズの融合を試みた曲がフラメンコ・ブルーとして去年のアルバムにのっているんですけど。ブルーの制作と並行してレッドも生まれていました。

わ:あったのは知らなかった

た:アルバムに載せる曲を、レッドにしようか、ブルーにしようかと迷っていました。

わ:谷川はスタジオに入ると6時間とか出てこない。ぼくは1時間とか決めて曲をデザインをするんだけど、谷川はずーと集中してはいっていて、出てきたときは、やっと産み出した、という感じ。僕とは全くスタイルが違う。

た:できたといっても、譜面にはなっていないくて、頭にはできている。

や:でこぼことぴったりがっちしているんですね。

た:レッドの話をしているのにあなたが腰を折った。フラメンコ・レッドもバイオリンフィーチャーの曲だから、昨年のプロジェクトにうまくあってお目見えしました。

M4「これからの人生」

わ:ミシェル・ルグランのこれからの人生。僕の好きな哀愁溢れる曲です。訥々とした音をだすために、全部人差し指だけ使って、とにかく爪弾く。速弾きと難しいことはしないで、それが逆によかったかなと。イメージがでたというか。

た:世の男性に特にこのアルバム全体を頭からばーっと聴いてほしい。「君の瞳に恋してる」を聴いてウキウキになったとたんに「これからの人生」が流れるという感じに、順番に意味があるんです。

や:なるほど。特に男性はこうやって聞きなさいと。

や:お二人の今年の予定やビッグ・イベントなどあればお聞きしたいです。

わ:1月13日土曜日、船橋市民文化ホールで「ライフ・イズ・ビューティフル」というcastle in the airのコンサートをやります。自分の畑を耕すコンサートです。

た:隣の芝生は青い。じゃなくてまずは、「自分の畑を耕そう」と。

わ:ゲストに、沖仁さん、村治佳織さん、そしてはじめてのお相手として奄美大島から元ちとせさん、パーカーションにヤヒロトモヒロさん。3月からはまた違うユニットで、「TOKYO WANDERER」のレコ発ライブを3月4月に開催します。

や:詳しい予定はHPをご覧いただいてと。

や:それと、今年の新しい取り組みとして。

た:いま映画音楽を作っています。13日のコンサートが終わったあとに本格的に制作に入るんですが、castle
in the airオーケストラで、「火垂るの墓」実写版の監督[ref]日向寺太郎監督[/ref]の2018年秋に公開予定映画の曲なんですけ、社会的に注目されているテーマなので、ぜひご覧いただければと。

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