駅の近くの喫茶店。初めて足を運んだ。前々から気にはなっていたけれど、行こうとするたびに休みだった。

どんな店だったか。駅からどれくらいの場所にあって、内装がこうで、メニューがどうで、といったことよりも、その店は「ドキュメント72時間のようなそれであった」というほうが、僕にとっては、少なくとも僕にとっては、その店がどんな店なのか、がはっきりする。ある程度は。

その店のママは、馴染みの客の人生相談に乗っていた。ようだった。ちょうどぼくがお店に入ったのが、その客が店を後にするまさにそのときだったので、帰り際にママと彼女が最後の会話をしているところを目にしただけだが、ごくごく個人的で、かつ、彼女にとっては深刻な話題について話していたということだけはわかった。

彼女がさって、店にはぼくと、もうひとりの馴染みの客。

「若いんだから、人のせい、世の中のせいにしてはだめ。自分で選んだんだ。もしダメだと思ったら、綺麗にやめればいい。周りのせいにしてはいけない。」

「今日のママは、厳しかったね。甘いことは言わなかった」

「節分だから、今日は鬼だよ。鬼は外。福は内って。」